投与対象患者に関する確認事項

投与対象となる患者

本剤の効能又は効果

活動性甲状腺眼症

本剤の対象患者は甲状腺眼症患者のうち、活動性の患者です。
活動性甲状腺眼症の患者のみに使用してください。

効能又は効果に関する注意

本剤投与時に、聴覚障害(難聴、聴力低下、耳管機能障害、耳管開放、聴覚過敏、耳鳴、鼓膜障害等)があらわれることがあり、重篤かつ不可逆的な事象も報告されている。「テッペーザ®の有効性と安全性」の項の内容を熟知し、臨床試験で対象とされた患者背景、並びに本剤の有効性及び安全性の試験結果等も十分に理解した上で、適用患者を選択すること。軽症の活動性甲状腺眼症を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

聴覚障害に関しては、「重要な特定されたリスク 聴覚障害」をご参照ください。

【活動性の評価方法】

甲状腺眼症の活動性は、CAS(Clinical activity score)又はMRIで評価します。

activity_img
① CAS
炎症の古典的な特色に基づく活動性評価であり、CASは以下の項目を各1点として合計点で表します。CASで前半の7項目中3項目以上又は10項目中4項目以上は活動性眼症を示唆します。
CASの項目
眼窩部の痛みや違和感
上方視、下方視時の痛み
眼瞼の発赤
眼瞼の腫脹
結膜の充血
結膜の浮腫
涙丘の発赤・腫脹
3ヵ月間に進行する眼球突出(>2mm)
3ヵ月間に進行する眼球運動障害(>8°)
3ヵ月間に進行する視力障害(>1 Snellen line)
② MRI

下記の場合は、活動性眼症を示唆します。

  • T2緩和時間の延長がみられる
  • 脂肪抑制T2強調画像において白く均一に描出される炎症が眼窩内に見られ、信号強度比(標的組織の信号強度/大脳皮質の信号強度)が高値を示す。

日本甲状腺学会・日本内分泌学会編:甲状腺眼症診療の手引き メディカルレビュー社
日本甲状腺学会・日本内分泌学会 編集: バセドウ病悪性眼球突出症(甲状腺眼症)の診断基準と治療指針2023(第3次案). 2023
https://www.japanthyroid.jp/doctor/img/basedou03_2023.pdf(2024年10月閲覧)

国内第Ⅲ相試験での対象患者について

国内第Ⅲ相試験(HZNP-TEP-303試験)における甲状腺眼症患者の選択基準は以下の通りでした。

  • 中等症又は重症の活動性甲状腺眼症を伴うバセドウ病と臨床的に診断された。
  • 重症度が高い側の眼(試験眼)のCAS(7点尺度)が3点以上である。
  • 医師の推定に基づき3mm以上の眼球突出の増加(甲状腺眼症診断前との比較)又は18mm以上の眼球突出を呈する。
  • 活動性甲状腺眼症の発症後9ヵ月未満である。

過去に甲状腺眼症の治療を目的とした眼窩への放射線療法又は外科的療法を受けた患者、累積投与量がメチルプレドニゾロン換算1g以上のステロイド薬使用歴がある患者、及び試験開始前から4週間以内に甲状腺眼症以外の治療を目的としたコルチコステロイド薬による治療を受けた患者は除外しました。

※臨床試験において本剤24週投与を3回以上繰り返したときの成績は得られていません。

承認時評価資料:活動性甲状腺眼症患者を対象とした国内第Ⅲ相試験(HZNP-TEP-303試験)(2024年9月24日承認、CTD 2.7.6.5)

投与対象とならない患者

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

2.2 妊娠又は妊娠している可能性のある女性

本剤の成分に対し
過敏症の既往歴のある患者
本剤に含まれる成分で過去に過敏症が認められた患者には投与しないで
ください。
妊娠又は妊娠している
可能性のある女性
本剤の動物試験の結果及びIGF-1受容体を阻害する作用機序から、胎児に
有害な作用を与える可能性があることから設定しました。妊娠又は妊娠
している可能性のある女性には投与しないでください。

※ 本剤1バイアル中に下記成分を含む

有効成分
(1バイアル中)注1)
テプロツムマブ(遺伝子組換え)注2) 524mg
添加剤
(1バイアル中)注1)
L-ヒスチジン 8.19mg
L-ヒスチジン塩酸塩水和物 35.02mg
ポリソルベート 20 1.10mg
トレハロース水和物 1040mg
有効成分注1
テプロツムマブ(遺伝子組換え)注2) 524mg
添加剤注1)
L-ヒスチジン 8.19mg
L-ヒスチジン塩酸塩水和物 35.02mg
ポリソルベート 20 1.10mg
トレハロース水和物 1040mg

注1)調製時の損失を考慮し、1バイアルからテプロツムマブ(遺伝子組換え)500mgが投与できるよう、過量充填されている。

注2)本剤は遺伝子組換え技術によりチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて産生される。

特定の背景を有する患者に関する注意

9.1
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 聴覚障害のある患者
本剤投与の適否を慎重に判断すること。聴覚障害が悪化するおそれがある。
9.1.2 糖尿病患者、耐糖能異常のある患者
本剤の投与開始前から血糖値を適切にコントロールすること。糖尿病又は耐糖能異常が悪化するおそれがある。
9.1.3 炎症性腸疾患のある患者
本剤投与の適否を慎重に判断すること。投与する場合は炎症性腸疾患の状態を十分に観察し、症状が悪化した場合には必要に応じて本剤の休薬又は投与中止を含む適切な処置を行うこと。炎症性腸疾患の症状が悪化するおそれがある。
9.4
生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与5ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。また、必要に応じて本剤投与開始前に妊娠検査を実施し、妊娠していないことを確認すること。
9.4
生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与5ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。また、必要に応じて本剤投与開始前に妊娠検査を実施し、妊娠していないことを確認すること。
9.5
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。カニクイザルに75mg/kg/週(臨床用量である20mg/kgを3週間に1回投与時の約8.8倍の曝露量に相当)を静脈内投与した場合に、児毒性(胎児死亡、胎児重量の低値)及び催奇形性(ドーム状の頭蓋、両眼の近接、大泉門の開大、顔面下部の発育不全、鼻先端の狭小化、頭蓋骨の菲薄化)が認められている。
9.6
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤がヒト乳汁中へ移行するかは不明であるが、一般にヒトIgGは乳汁中へ移行することが知られている。
9.7
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。